黒杭川上流ダム取水放流設備

本ダムでは“連続サイホン式”と呼ばれる新しい取水設備形式を県営ダムで初めて採用されました。

［工事目的］

二級河川黒杭川に建設中の黒杭川上流ダム（治水ダム）に以下の3点を目的として設置する取水放流設備の製作据付工事です。

1. 河川維持用水の補給
2. 既得かんがい用水の補給
3. 水位低下放流

［連続サイホン式取水設備の特長］

1. 連続して積み重ねたサイホン管の頂部に圧縮空気の出し入れを行い、止水（空気ロック）と通水（空気ロック解除）を行う表層取水の他、任意のサイフォン管より選択取水が可能。
2. 水中部に可動部がなく、さらに、ワイヤーロープ・水密ゴム等の交換部品が不要。
3. 維持管理が容易、かつ、ランニングコストの低減。
4. 空気ロックによる完全水密が可能。
5. 低層部における濁水や冷水の漏水がない。

［取水設備全体］

［サイホン管　止水と通水のしくみ］

■ 止水（空気ロック）
サイフォン管に作用する貯水深相当圧の圧縮空気を、地上の空気圧制御装置より給排気管を通じ送り込む。高精度圧力センサ－でサイホン管内の水面高さを検知し、サイホン管の∧形形状の下端まで水面が低下したら地上の操作弁を閉じ、圧縮空気を隔壁内に閉じこめ（空気ロック）て、止水をおこなう。

■ 通水（空気ロック解除）
地上の操作弁を開け、サイホン管内の圧縮空気を大気へ開放し（空気ロック解除）、通水をおこなう。
サイホン管の∧形の頂部が貯水面より高い場合は、真空ポンプを利用して強制的にサイホンを形成させて通水させることも可能。

［工場製作風景］

連続サイフォンの技術的なお問い合わせは技術部までお問い合わせください。